おはようごございます!PTみふぁら♪です。
前回までの『Qセラ』では筋力を『筋出力』として捉え、筋以外の因子による影響を考える視点を提案しました。
※前回の記事はこちら
今回の記事では、
具体的な評価・介入方法も紹介し、
真のimpairmentレベルの問題点
(優先順位が高い問題点)
を見つけ出すことで、
筋力を動作に繋げる一助と
なれるようにしていきますね!!
この記事の目次
理学療法士・作業療法士は再確認|動作を改善させるためには『特異性』を意識!!
さて貴方は、
改善させたい動作と
同様の角度や速度で
トレーニングできていますか?
筋力トレーニングを
動作に繋げるためには、
その動作と同様の関節角度や
運動速度でトレーニングを
行うことがbetter
です。
その根拠となる研究があります。
その研究では・・・
肘関節において、屈曲25°での等尺性収縮トレーニングを行うと・・・
他の屈曲角度に比べて、トレーニング時と同じ角度である屈曲25°での筋力が有意に増加したという結果であったとのことです。
また、屈曲80°や120°の場合も同様に、屈曲80°や屈曲120°での筋力の有意な増加が得られました。
これを『角度特異性』と言います。
※(後藤勝正ら:筋力および筋力低下の生理学.理学療法ジャーナル52:5-14,2018)
なぜ角度特異性が
筋力の発揮に影響しているのか?
についての筆者の考えとしては・・・
メカノレセプター(関節内圧や緊張)や
筋紡錘(身体図式)などの
末梢受容器の感受性や
伝達情報の影響がある
と考えます。
これについては機会があれば、
また記事にしたいと思います。
また、
『速度特異性』も研究されており、
筋の遅筋線維や速筋線維の影響を
考えることができれば
臨床がさらに楽しくなりそうですね!!
(後藤勝正ら:筋力および筋力低下の生理学.理学療法ジャーナル 52: 5-14, 2018)
やはり、
筋力トレーニングの効果を
動作に般化させるためには、
改善させたい動作と
同様の角度や速度に
環境設定した上で
トレーニングを行うこと
が重要なのですね(^^)/
このように考えていくと、
他の関節の角度にも注意しながら
環境設定をした上で
筋力トレーニングを行うことが
良さそうですね(^^
例えば・・・
大腿四頭筋のセッティングを行う場合、
完全な背臥位や長座位で行うのではなく、
荷重応答期のアライメントに
合わせるように、
三角枕などを背部に入れて股関節軽度屈曲、
さらに足関節背屈しておくことも
『特異性』を考慮した工夫
になりますね!!
リハビリ職の貴方も試してください!今から数秒間で即座に筋出力を向上させます(^^)
さっそくですが・・・
①椅子に座って、左右3回ずつ太もも挙げ(股関節屈曲)をして下さい
②左右どちらの脚が重く感じたり挙げにくかったりしましたか?
③少しでも挙げにくかった方の脚の太もも前面の皮膚を、遠位から近位方向(膝から股関節の方向)に3回ずつ、両手の平でさすって下さい。
皮膚なので
圧を加えすぎないように、
置いた手をそのまま動かして、
さするだけですよ。
・・
・・・
いかがですか?
挙げやすくなったケース
変わらないケース
逆にさらに挙げにくくなったケース・・・
原因には個別性があるので、
いろんな反応があったと思います。
もちろん、
下肢の質量が
この一瞬で変化している
訳ではありませんが、
臨床では太ももが
挙げやすくなる患者様が
たくさんいます。
(逆方向にさすると重くなります)
このように、
皮膚と筋の間の滑走性が
筋出力を阻害していた場合、
即座に改善します!!
臨床的には、
骨折や変形性関節症に対する
手術後の術創部付近の
筋の出力低下の原因
と考えられますね。
改めてリハビリセラピストも実践!|今から数秒間で即座に筋出力を低下させます(>_<)
先ほどは、
即座に筋出力を
向上させるような
介入でしたが、
今回は筋出力を『低下』
させてみます。
『どうすればその問題点(筋出力低下)を作れるか?』
という逆説的な視点も、
患者様の病態や問題点を解釈し、
効果的な治療を考える際に
役立つと思います。
ではさっそく体験してみましょう!!
効果判定は先ほどと同様に・・・
①椅子に座って、左右3回ずつ太もも挙げ(股関節屈曲)をして下さい。
左右どちらの脚が
重く感じたり
挙げにくかったり
しましたか?
今回は、
筋出力を『低下』させるので、
少しでも挙げやすかったり
軽く感じたりした方の
脚の太ももを前面から
床の方に向かって
押し下げて下さい。
今回は、
皮膚ではなく
筋に介入するので、
自分の手の平で
ギュッギュッと
押し下げて下さいね(^^;
そして、
もう一度、
左右3回ずつ太もも挙げ(股関節屈曲)をして確かめてください。
・・・いかがですか?
重く感じた人もいるのでは?(個人差あり)
このように、
筋のアライメントが不整であれば、
筋出力は低下してしまいます(-_-)
臨床的には、
変形性脊椎症や
末梢神経麻痺で
選択的に筋力低下がみられる
患者様の筋アライメントを整えると
即座にMMTが向上すること
があります。
また、
筋緊張が高い場合
(内反尖足や疼痛による過剰収縮など)
その筋のアライメントを
わざと不整にすることで
筋緊張を抑制できる可能性
もあります。
【最後に】リハビリテーション職は「筋出力」の捉え方を深めよう
筋力トレーニングを
動作の改善に繋げるためには、
筋力低下の背景因子を
多くの視点から
考えることが必要
です。
今回のQセラシリーズでは、
評価・介入の工夫点や
臨床的な解釈を紹介
しました。
単なる筋力トレーニングではなく
筋力を筋出力として捉えることで、
臨床がさらに楽しくなる
と考えています!!
質問箱への臨床での疑問・質問など、これからもお待ちしていますね!!
≪リハスト公式質問箱≫
#理学療法士 #作業療法士 #リハビリ #筋力 #筋出力