おはようございます。
毎週土曜日、リハビリ専門コラム(内部障害)担当の眞鍋です。
前回に引き続き、
リスク管理関係のお話になります。
前回の記事はこちら:
一度は耳にしたことがあり、
実習や国家試験などで必死で覚えたはずです。
土肥アンダーソンの基準
セラピストでこれを知らない人はいないはずです、
知らないとしたら非常にまずいので
ぜひ知っておいてください。
全部を丸暗記するのは大変です、
手帳などに挟んでおいてカンペにするといいと思います。
ネット上であちこちに記載されている物であり、
それらと全く同じですので引用は記載しておりません。
これを覚えればリスク管理は完璧?
なんてことはちっとも言えないのですが、
おそらくこのアンダーソンの基準土肥変法を
ベースに作成されたのが
リハビリテーション医療における安全管理•推進のためのガイドライン
です。
これは一応ガイドラインですので、
順守して行うことはおかしなことではないです。
こちらは薄い書籍として出版されており、
病院においてあるという施設も
多いのではないかと思います。
しかし、
2006年の発行依頼現在に至るまで改訂がなされていない
のが問題です。
ガイドラインは
通常アップデートを重ねていくものですが、
どうやらエビデンスに欠けるため改訂が難しい
という話を聞いたことがあります。
ではまず、各事項を確認しましょう。
運動を行わないほうがよい場合
1)安静時脈拍数120/分以上
2)拡張期血圧120以上
3)収縮期血圧200以上
4)労作性狭心症を現在有するもの
5)新鮮心筋梗塞1ヶ月以内のもの
6)うっ血性心不全の所見の明らかなもの
7)心房細動以外の著しい不整脈
8)運動前すでに動悸、息切れのあるもの
途中で運動を中止する場合
1)運動中、中等度の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛などが出現した場合
2)運動中、脈拍が140/分を越えた場合
3)運動中、1分間10個以上の期外収縮が出現するか、または頻脈性不整脈(心房細動、上室性または心室性頻脈な
ど)あるいは徐脈が出現した場合
4)運動中、収縮期血圧40mmHg以上または拡張期血圧20mmHg以上上昇した場合
運動を一時中止し、回復を待って再開する
1)脈拍数が運動時の30%を超えた場合、ただし、2分間の安静で10%以下にもどらぬ場合は、以後の運動は中止す
るかまたは極めて軽労作のものにきりかえる
2)脈拍数が120/分を越えた場合
3)1分間に10回以下の期外収縮が出現した場合
4)軽い動悸、息切れを訴えた場合
アンダーソンの基準土肥変法(リハビリテーション医療における安全管理•推進のためのガイドライン)活用について
これは完全に私の私見です、
一セラピストの意見として聞いてください。
これらの基準を守っていれば
安全にリハビリテーションが行えるかというと、
それは絶対に違います。
まず、学生さん。
学生さんは臨床経験が0です。
いわゆる経験則というのは皆無です。
そういう場合に拠り所となる指標であることは事実なので、
実習中や新人になりたての頃は参考にするとよいでしょう。
先輩によっては
「そんなの参考にしてもリハビリできないよ」
などというかもしれません。
そういう時はその先輩のリスク管理方法を聞きましょう。
特に何もなく、
経験則に頼ってなんとなくやっているような先輩なら
リスク管理の参考にはしないようにしましょう。
これらを一つの自分の判断指標として、
もっと様々なことに注意を払っていかないと
リスク管理とは言えません。
そもそも、
これらの指標を元にYes/Noを判断することをリスク管理
と思っている若手セラピストが多いのですが、
そもそもそこが違っていますので注意して下さい。
では、土肥変法にせよガイドラインにせよどう活用するのか?
何であれ有名な基準であること、
ガイドラインであることに間違いはありません。
それを順守して、
もしくは参考にしてリスク管理を行ったのか、
それとも勘と経験則に基づいて行ったのかでは
何かあった時のインパクトが全く違います。
つまり、
万が一理学療法中にトラブルがあり、
訴訟問題となった場合などを想定すると
活用しておくべきものであると考えます。
カルテに一文記載があるかないかで
自分のリスク管理の正当性、妥当性の証明になります。
リスク管理とは、自分の身も守るものなのです。
リスク管理については別ページで記事作成予定ですので、
そちらで学んで下さい。
まとめ
今回はリスク管理のお話でした。
アンダーソンの基準土肥変法
も
リハビリテーション医療における安全管理•推進のためのガイドライン
も同じですが、
完全に順守すればリスク管理ができると考えると大間違いです。
当たり前ですが、
患者さんには個別性があるので
ケースバイケースの対応が不可欠。
中にはこれらの基準に全くあてはまらない症例も多くいます。
あくまでも一つの基準としておさえておき、
よりしっかりとした病態把握と
フィジカルアセスメントで
より良いリスク管理を行いましょう。
質問はこちらまでお願いします。
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【著者プロフィール】
真鍋 周志
急性期病院勤務理学療法士
専門は内部障害系理学療法
理学療法士が生涯学べる環境を作りたいと考えています。
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